新年のご挨拶

 新年明けましておめでとうございます。皆様お揃いで輝かしい2012年の新春をお迎えのことと拝察し心からお慶び申しあげます。
 過ぎ去った2011年は、日本列島にとって忘れることのできない年でありました。3月11日、東日本を襲った空前の地震と大津波は、一瞬にして2万の人の命を奪い、さらに福島にある原子力発電のメルトダウンを惹き起こしました。今日なお8万人の方々が住むべきところ働くべきところが定まらずにいます。この北海道にも、いまなお3000人の被災された方々が避難をされています。

 明治の初めの開拓使事業報告書を読みますと、北海道とくにこの札幌周辺が、東北の方々によって切り拓かれた土地であることを知ります。官軍に敗れた東北の藩士が、原始林を切り開き、寒風吹き荒ぶ中、ヒグマと戦いながら、道を作り、橋を架け、田畑を一歩一歩造成していったのです。今日の北海道とくに札幌の繁栄は、東北の方々のまさに血と汗の歴史の上に築かれたものなのです。

石黒直文理事長
石黒理事長(at東日本大震災被災者支援フォーラム)
 この東北の方々が、いま大変な災難に逢着しているとき、「開拓使」を名乗る団体として、何らかのご恩返しができないだろうか。このことを皆で話し合った結果、8月、約百人の被災者をつきさっぷジンギスカンクラブにお招きすることとしました。ジンギスカンをつつきながら、たいへんなご苦労の状況をお聞きする一方、私どもが持っている北海道移住の情報を率直にお話しました。この会には、私どもの会員はもとより農業や就職の専門家の方々等、数多くの方に参加いただきました。この会合を通じて、何人かの被災者の方が当会の会員になっていただいたことも嬉しいことでした。
 また、年末の忘年会も楽しいものでした。全国、全道から集まった中には懐かしいお顔もあり、開拓使の会の歴史と広がりの大きさを改めて知ることができました。

 新年のご挨拶を終えるに当たり、皆様にぜひ考えてもらいたいことがあります。私たちの会は、ご承知のとおり、1994年、多くの方々の熱意と友情に支えられて今日まで「北海道開拓」のミッションと信ずる王道を歩いてきました。しかし、あのステーブ・ジョブスがスタンフォード大学の卒業式でこういっています。「誰も死にたくない。だが、死は人類最高の発明だ。死があるから若者が、老人に取って代わって種としての生命を支えることができる」率直に言って、この会も世代交替の時機に来ていると思うのです。どうか、皆さんが自分のこととして、ぜひ、真剣にお考えいただくよう切にお願いいたします。
 時代が大きく変わり始めているのをひしひしと感じます。皆様がご健勝で、力をあわせてこの時代の大波を乗り越えていきたいものだと心から念じ、新年のご挨拶といたします。

平成24年 元旦

NPO法人 私設 北海道開拓使の会 理事長 石黒直文


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