新年ごあいさつ

 明けましておめでとうございます。
社員、会員の皆さんには、お元気にお揃いで新春をお迎えのことと拝察し、2016年の輝かしい年頭に当たり、心から新年のお慶びを申し上げます。

 さて、過ぎ去った2015年を振り返ってみますと、二つのイベントが想い起されます。 一つは、太田さんと小向さんが企画し、10月10日に行った小樽ツアーです。かわら版にも書きましたが、何とも贅沢なツアーでした。その第一は、あの小樽財界の重鎮・井上一郎さんをガイド役に引っ張り出したことです。

 以前、鳴海さんのお働きで挙行した函館ツアーの時にも思ったことですが、函館、小樽などの北海道の古くからの港町には、札幌にない民間の自前の蓄積があります。それに比べると、札幌は貧しい。東京はもっと貧しい。一見すると、北海道で一番繁栄しているのは札幌であり、日本では東京のように思います。しかし、これらの都市は、所詮、役人と政治家とサラリーマンの町なのです。カネと権力を握っているのは、官庁と大企業であり、個人が持っているわけではありません。個人は、時間とカネに追いまくられながら、災害と老後に怯えて暮らしているのです。安定した老後を夢見て求めた一流マンションが、実は不良資産だったというドラマが象徴的な出来事です。


小樽ツアー会場にて

小樽ツアー2015 講演会会場にて
 小樽には、札幌にない歴史的な蓄積があります。自前の商人の伝統があります。経済だけでなく、生活から滲み出した文化があります。それらを支える小樽人の集団の頂点にいる方が井上さんだと思うのです。井上さんの小樽物語を聴き、街を歩き、歴史建造物に触れ、屋形船に乗り、最後に薮蕎麦で締めて、素晴らしい秋晴れの小樽がすっかり夜の帳に包まれたとき、井上さんは、「今日案内したのは小樽の2%です」と豪語されました。素晴らしい先達を、開拓使の会は持っているなあと感じ入ったのでした。

 12月には、本州からの参加者2名や小樽ツアーでの参加者を加えて、にぎやかな忘年会が居酒屋で開かれました。クリスマス風プレゼント交換もあり、楽しい冬の一夜でした。

 新しい年、2016年、私どもを待ち受けているのはどういう時代環境でしょうか。ご承知の通り、3年目を迎えた安倍内閣は、「地方創生」と「一億総活躍」というスローガンを掲げています。これらは、結局、少子高齢化の結果として、地域格差、年代格差、男女格差がわが国の成長阻害要因となってきたことが誰の目にも明らかになってきた証左でしょう。
 私どもは、20数年前にこのことを予測し、中央の役人の上から目線ではダメだと考えて、あえて「私設」と名付けました。昨年のイベントを企画され、参加された皆さんのイキイキしたお顔を拝見して、その初志が、決して間違ってなかったという確信を深めています。

 新しい年、2016年が、会員、社員の皆さんにとっての幸い多き年であり、私ども「私設北海道開拓使の会」にとっても、新展開の年であるよう心から希って、新年のごあいさつといたします。

平成28年 元旦

NPO法人 私設 北海道開拓使の会 理事長 石黒直文